私にはストレリチアの現況が二つに別れているように見えます。これは分類には違いないでしょうが、そんな学術上の意味ではなく、ただの印象に過ぎません。
ストレリチアの黄色種が世に現われ、広まり始めた頃は、まだ珍しい少数派だったので、全体に与える影響は小さかったのです。ところが、やがて、交配親としての活躍が始まり、生み出される子孫が多くなると、いまや、ストレリチアの世界の一角を占めるまでの存在となってきています。
しかも、ますます、その広がりが大きくなりつつあるので、改めて評価しなければならない段階にきているようです。
我が家のストレリチア圃場でも、大部分は黄色種の系統で占められ、それ以前の系統は少数派になってしまっているのが現状です。花色を別にしても、その違いが表面に表われれてきているのです。
1,生長の速さ
黄色種の遺伝を受け継いだ子供達は今までの系統よりも育ちが、やや、速くなっているようです。これは歓迎すべき点です。
2,植物体が柔らかくなってきている
これは、よほど観察が深くないと気がつきませんが、個体でなく、全体を見ての感じです。古い系統は、カチカチの鎧をまとった、たくましい感じなのに、黄色系は、やや、柔らかい感じで、優しく、上品、ともいえるような姿なのです。言葉を変えると、昔のストレリチアらしき、頑固、丈夫な感じが薄くなった、といえるかもしれません。
これは花にも表われています。古い系統の花の方が硬く、しっかりと出来ているようです。
3,開花期の変化
古い系統は早咲きが多かったのに、黄色系は早咲きは少なく、遅咲きが多くなっています。これは、どちらが良い、悪いの問題ではなく、必要に応じて選べばよいのです。
4,花の個性
強い個性の古い系統、華やかさの黄色系ともいえるでしょう。ここでいう黄色系とは、必ずしも花が黄色という意味ではありません。オレンジに黄色を交配した場合は一代目はオレンジになります。ですから、黄色種の遺伝が入ったと言う意味でも黄色系と呼んでいます。
これらの違いは、人が望んで、そうなったものではありません。結果がそうだった、ということなのです。どちらが良いといえるかの問題ではありませんから、その時々、必要に応じて選ぶ時代になったといえます。つまり、選択の幅が広くなったのだと思えば良いでしょう。