ゴールド クレストの片親であり、レギーネ黄色種原種の最高峰でもあり、南アフリカでは最高のストレリチアと仰がれているのが「マンデラスゴールド」で、南アフリカ、黒人初代大頭領の名を頂いた名花です。
まだ、この花が隠れた存在であった頃、鈴木が持ち帰り、株分けで殖やされたものが、我が国でだけは、楽に入手できます。でも、それだけに有り難みが薄いように感じます。私は、この品種とは付き合いが長いだけに、奥深い魅力をよく承知しているつもりです。
長所は、色々、ありますが、何と言っても一番は、の首の部分を中心として鮮やかな紅紫色に彩られることです。妖しい美しさとでも表現したいほどなのですが、肥料(骨粉などのリン酸分)その他の影響で、いつでも、どこでも、そっくり同じ花が見られるわけではありません。同じような立場の「ゴールド A」ほど敏感ではありませんが、それでも、表れ方に差があるように思えます。つまり、扱い方で表情が変わるのです。交配による子供達にもこの長所が受け継がれますが、美しさは十分伝わっても、「妖しい感じ」までは、なかなか伝わらないのではと思っています。
やはり、原種が頑なに守っている秘密なのではないか、とまで勘ぐりたくなるほどです。ただ、原種ですから不足で至らない部分も残りますが、それだけに個性が強く感じられます。
殖やそうとして自家受粉で種子をとれば、先祖返りを起こして遺伝構成が変わってしまいますから再生産とはいえません。この場合は「マンデラスゴールドセルフ(self)」と称することになります。殖やすには、回りくどいながらも株分けしかありません。優秀品種の宿命です。
ストレリチアの楽しみ方も色々です。ここまでの見方もあるんですよ、との例を挙げてみました。