ストレリチアの解明されていない謎の一つです。サンバードが蜜を吸いにやってきて花粉をメシベにつける、までは分っても、それが、どのような経過を辿って行われるのか、見当が付かないからです。授粉が、どのように成立するのか、推理出来る構造になっていないからです。
青紫色の花弁の中頃は、幅が矢羽根状に広がっていて、この両端が上から下へ押し下げられると花弁が開き、中に隠れていた花粉が露出して、取り出せる状態となります。サンバードが飛んできて花に止まるのは、この花弁の上が多いようです。時には苞の上の場合もありますが。
サンバードが花弁の上に止まれば、その重みで花弁が押し開かれ花粉が露出します。結果として足に花粉が付くことがあるでしょうが、メシベは花弁の先端にあって、そこまで足を伸ばしたら体重を支えることは出来ませんから授粉は不可能です。また、無理にやったところで、それは自家受粉になりますから、ストレリチアが、そんなことを望んでいるとは思えません。また、サンバードにとっては、蜜を吸いにきたのであって、授粉のことなど頭にあるはずもありません。
他家授粉になるには、サンバードが蜜を吸って飛び立つまでに、なんらかの方法で花粉を身につけ、次の花に移ったとき、その花のメンベにつけることでしょう。花粉を付けるのは、足か、嘴か、羽毛か、が分りません。一つ、気になるのは、サンバードが嘴をメシベに近寄せる動作をすることです。嘴を使って授粉するのが、一番、ありそうで、有効な手段に思えるのですが、なぜ、関係の無いメシベに嘴を寄せる必要があるのか、首を捻ってしまうのです。それに、メシベは粘液でベトベトしているのに、わざわざ、やるのは何の必要があるのでしょうか。その辺りが、私には謎なのです。
しかたなく、わたしなりの結論を出すことにしました。それはストレリチアには、ほんの僅かな花粉があれば用が足りるのでは無いかと言うことです。私自身は人工交配に絵の具用の筆に、タップリと花粉をつけてやってきましたが、あれはやり過ぎで、もっと少なくても良いんでは無いか、と思い始めているのです。ミツバチやアブが花粉まみれになる草花もあれば、数kmも離れた親株から風に乗って飛んできた花粉で十分な風媒もあるのです。ストレリチアの場合、サンバードが、それらしい行動をしなくても、何かの拍子で花粉がついてもおかしいことではないでしょう。それくらい、アフリカでは、ストレリチアの花の周りを飛び回っているのです。あの風景を思い出すと、アレなら、花粉が付いてしまうことが起きても不思議はないと思えるのです。
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