ストレリチア秘話No.235 ちょっと変わったストレリチア 「パーヴィフォリア」

 パーヴィフォリアというストレリチアに初めて出会ったのは、ジャンセア自生地に案内された時のことでした。すぐ近くのユイテンハーグの町に寄った際、小さなショッピングセンターの前の通りの道路の分離帯に一株のストレリチアが植えられていて、20本以上もの赤みがかったオレンジ色の花の集団が目に飛び込んできたのです。今でも、あの光景は忘れられません。赤い色の印象が強かったのは、苞の色のせいだったのでしょう。葉が小さいために眺めを邪魔するものがなく、花の集団だけが強調されていたのです。

 実は、今でも南アフリカではパーヴィフォリアは滅多には見かけることがないくらいの数しか植えられていません。どこへいっても目に入るのはレギーネばかりなのです。ジャンセアだってポート エリザベス市だけで、他の地域では滅多にお目にかかれません。なにしろ、パーヴィフォリアの自生はパテンシーだけに限られ、しかも、十数株ぐらいしかなかったのですから、なかなか。一般には広まらなかったのです。

 我が国でも、これから庭園を始めとする野外にストレリチアが多く植えられてゆくと思われますが、ストレリチアは「種(しゅ)」ごとに印象が違うことを心得ておいた方が良いと思います。レギーネは葉の面積が大きいので、花だけが強調されることはなく、葉と両方が鑑賞の対象となるでしょう。ジャンセアは花の眺めを遮る葉がないので、花がよく見えますが、花の数が少ないのが欠点と言えます。それにひきかえパーヴィフォリアは中間種ですから、両者の欠点を見事にカバーしてくれます。

 いずれにしても、この解説は、文句なしの「花立ち良好」の株を使用することが前提となっていることはいうまでもありません。