前章 No.672号にでパービフォリアゴールドの作出について述べましたが、育種家とは、そのような、大きな期待の交配ばかりをしてるだけではありません。あらゆる見込みに手を出しているのです。ただし、こちらは特殊な期待の方が多いですから。もし、成功しても、結果が支持されるかどうかは分りません。それなのに育種家は、やらずにいられないのです。
オレンジのパービフォリアやジャンセアが今までより性能がよくなったとしても、どれだけの人が喜んでくれるか分りません。それでも、少数の人が支持してくれるのが分っているから続ける事が出来るのです。育種家とは有利な交配だけを目指しているわけではありません。自分でなければできないであろうとの思い込みに動かされているのです。結果として、時には思わぬ方向の品種が生まれることがありますが、それらは皆、支持する人だけの所へ収まってしまうのです。
これは仕方ないことです。特殊な品種を手に入れるには、こんな方法に頼るしかありません。
今、僅かな数ですが試みている交配を紹介しますと、ジャンセアの矮性と花立ち超優良種の発現です。普通なら公表しない秘密なのですが、これは、それが出来る交配親を持っていなければ真似できないことなので明かしているのです。これらが、どこまで有望なのかは誰にもわかりません。それなのに、やってのけようとする人物もいることを知らせているだけなのです。
