ストレリチア秘話No.237 ストレリチアの捨て作り

 私の住んでいる南房総の海岸地帯には、捨てられたキダチアロエが野生化して群落を作り、それが花を咲かせるようになると見事な景観となり、名物となってしまったのが何カ所もあり、まだ、これからも出来上がる可能性のあるところが少なくありません。その場所は市有地や国有地で、誰かが面倒を見た結果ではなく、自然に出来上がってしまったものです。しかし、すべてが尊重されているわけではありません。生育条件が悪かったり、必要とされない場所に育った場合は邪険に扱われたり、邪魔者として処分されたり、と消し去られてしまう運命のものも多いのです。つまり、陶汰にさらされ、選別された結果といえましょう。そこには人による目的の関わりは殆どないといってよいようです。

 ストレリチアでも同じ事がやれるようです。私の所では春、植え替えの際、気に入らない株は捨ててしまいます。ところが捨てたはずなのに生き残ってしまうことが、よく起きます。或いは、捨てるほどではなくても、放り出して、生きても、死んでもいいや、という扱いです。ストレリチアはアロエほどではなくても、こういう、ひどい待遇にも耐えられるのです。投げ出されて、全然、面倒をみなくても生きているのに、一生懸命、手を掛けたのに枯らしてしまう人がいるのは、いかに間違ったことをしたかということでしょう。

 ただし、この捨てづくりは、心得ておかなければならないことがあります。それはアロエと違ってストレリチアは品種の優劣があることです。ストレリチアは何百年も生きるのですから、悪い系統が生き残っては迷惑を広めることになってしまいます。大株は処分するにも労力が掛るのです。