ストレリチア秘話No.281 ジャンセアの進化は過剰か?

 この章は矛盾したことを述べています。ジャンセアの生き方を認めながらも、人の都合へ引き込もうとしているからです。

 私はストレリチアの中で一番、好ましく思っているのがジャンセアです。硬いクチン質の表皮に覆われ、障害に守られた姿は頼もしく、安心感を与えてくれます。寒さや乾燥にも耐えるので、気楽に栽培できるのです。でも、それと裏腹に成長が遅く、成熟に年数が掛かりすぎるので困ります。私たちの短い寿命の中では、とても待ちきれない不満がつきまとってしまうのです。

 強くて丈夫なのは、成育に時間が掛かる結果であって、仕方がないことなのに人の欲望は勝手なものです。原因はレギーネの自生地、雨量500ミリ地帯から、300ミリの乾燥地へ移住したことにあります。その環境に耐えられる体に進化したのです。それを人間の所へ連れてきて、「水はタップリやるから」といわれても、おいそれとは従ってくれません。

 ジャンセアが、この方向に進化したのは進化したのは自然の成り行きですが、人にとっては、少々進み過ぎに見えるのです。人は環境条件をかえることが出来ますから、後はストレリチアの遺伝が、人の望む方向へ進んでくれれば「万歳」となるのでしょう。事実、現在、進行中ですから、やがて、結果が分かります。