パテンシイ農園の奥地の丘の上、ジャンセア自生地から見渡すと、東の方角、約60km彼方に、ここから移住したであろうユイテンハーグの丘の並びが見渡せます。そこで思うのは、この距離を、ジャンセアはどうやって渡ったのだろうか、ということです。
ストレリチアの種子は動物に運んでもらうための恩恵を持っていませんから、動物は除外してもよいでしょう。種子には粉がはいっていますから、人が飢能の時に食べた記録はありますが、食べられる量を集めるのは簡単ではありませんから、よほど困ったときのことでしょう。それにしても運ばれたとすれば人間以外には考えられません。
ストレリチアの種子には、ストレリチアが広く拡がって生きようとの意欲は見られないのです。発芽の仕方も同様です。種子の表面にある発芽抑制物質のクマリンが十分な雨で洗い流されないと発芽出来ないのです。つまり、余り、殖えようとはしていないのです。自分の仲間を多く殖やして景気よく生きようとする姿勢が見られません。少数ながらも確実に生きようとしているのがストレリチアなのではないでしょうか。
