ストレリチアの切り花は生花市場へ出荷されますから、販売価格は全国、ほぼ平準化されていますが、鉢植えとなると標準がありませんから、同じ品種であっても価格はバラバラです。広告等によってある程度は似た価格があるように見えますが、価格が同じでも、品質の標準がはっきりしないので、同じであるとはいえないのです。これはストレリチア市場が未だ、未成熟の結果だといえるでしょう。
当園は研究所と名乗っても、公的機関ではありませんから、どこからも資金援助は受けられない私企業です。従って、製品を販売しなければ経営が成り立ちません。研究結果を提供するサービスです。そこで販売価格には、いつも、悩まされています。
当園は原則として通信販売はせず、直販が原則です。南房総は交通上、不便な地域ですから、わざわざ、来てくださるお客さんには、交通費、その他をふくめて、価格を差し引くようにしています。通信販売をしないのは、いろいろ理由がありますが、その一つに段ボール箱の長さ、120㎝の制限があります。根ごと、鉢ごとですから、箱に収まらないことが多く起きてしまうのです。私にすれば、ストレリチア、そのものの選定が優先されるべきなのに、長さが第一の基準になってしまうのです。
価格の決定には、まだまだ、多くの悩みがあります。私としては、このストレリチアは価値があると思っても、高い値段では、お客さんが手が出せないだろうなぁ、と、お客さんの立場で決めることが多いのです。私にとっては、芯からは納得していないのがストレリチアの価格です。
時には理解が及ばない価格に出会うこともあります。不思議に高いのです。これは特殊な株を手に入れようとするときに起こります。つまり、その株、自体の価格に「特許料」ともいうべき価格が加算された場合です。新しいものを生み出そうとすると、その本人の権利は特許法により守られますが、植物の場合は不完全なのです。オランダのように海外では「植物特許」は確率されていますが、我が国、日本では、穴だらけで守られていないのが実情です。これでは、折角、新品種を作出しても、すぐに真似されてしまうのです。そこで自衛手段として、売り出し時に、せめて加算しようとするのです。交配親として使えば、何百、何千と子を生み出せます。そうなれば、苗一本の価格に換算すれば、安いものだ、となるのです。純然たる趣味の人には関係ないことですから、これを伝えれば、その分の価格を差し引いてくれるでしょう。私の所では卸売りもしていますから、小売りは私の手から離れることもしばしばです。ずいぶん高い値段で売られることがありますが、私、自身の気分は悪くありません。「高く評価してくれたんだなあ」と思うだけです。
このようにストレリチアの価格には、様々な要素が関わり合っています。