ストレリチア秘話No.323 生態系の一員としてのストレリチア

 地球上の生き物は皆、それぞれが独立して生きているわけではなく、周囲の生物群集と、その環境も合わせた生態系の一員として存在しています。ストレリチアだって自生地の環境の中で、お互いに助けたり、助けられたりしながら生きてきたわけです。それが、自生地から切り離され、全然、違った環境の私たちの所で育てられているのです。故郷では生態系の中で守られていたのが、今では切り離されて、ひとりぼっちになってしまった、という境遇なのではないでしょうか。今までの私達の栽培では、ストレリチアだけを見て、この視点が欠けていたのでは無いでしょうか。

 だからといって、いったい、どんな影響を受けていたのか、今の段階では分かっていません。これは多分、間接的なものであろうと想像するのですが、もし判明したら、ストレリチア栽培は完璧となるでありましょう。ヒントは自生地にあることは間違いありません。改めてストレリチアが、どんな環境の中で生きてきたのか確かめる必要を感じています。

 近頃、植物学も進歩し、植物は今まで考えられてきた以上に、感覚やコミュニケーション技術を持っていることが確かめられてきています。ただ、違和感があるのは、それが動物とは違う点にあるようです。植物同士のコミュニケーションではアフリカ南部での研究が驚きをもたらしました。動物や虫の食害に見舞われた木が直ちに行動を起こし、タンニンを生産して味を悪くし、自分を守るだけで無く、近隣の仲間にも普報を発していた事実です。その手段はフェロモンによるのではないかとの説が有力です。ここまで判明してくると、植物の機能は、まだまだ、あるのではないか?と思われ始めているところです。