私のストレリチア圃場の一角は、墓場ともいえる捨て場があり、年々、後から、後から積み上げられたストレリチアが無惨な姿をさらしています、それでも、一年もたてば、たいてい枯れて消えてゆきます。
私が気に入らないために捨てられるものが多いのですが、中には私の意に反して、寒さで枯れてしまったものも含まれます。5年前の台風で温室が飛ばされて以来、自然栽培に移ってからは、枯れて欲しくない優秀系統までが、本来の置き場に入りきれず、はみ出たために被害にあったものまで加わってきています。2023年の冬は10年ぶりの寒さだったので、またまた、多かったです。
こんな試練を潜って生き延びて、現在も残っているストレリチアは、まさに、「精鋭」と呼んでも良いと思います。こんなわけですから、栽培相談に出てくる「花立ちの悪い株」など、はなから存在できる環境ではありません。私をいらだたせるようなストレリチアは見たくもないからです。優秀品種であっても生きるのが難しいのですから、気に入らないのは、すぐ、捨てられてしまいます。
生き残った精鋭の中には、極端な形質を持ったものもいます。その一つに「花が出過ぎる」株があります。まだ、完全に成熟していないのに、花芽を4本も出してしまい、「いい加減にしたらどうです。これでは身が持たないでしょうに」と話しかけるのですが、聞いてくれるはずがありません。結局、養分の補給が続かず、一本しか咲かせられず、その上、翌年の花は休みとなりました。精鋭の集団を相手にするのは面白いものです。驚きの連続なのですから。