ストレリチア秘話No.387 ストレリチアの他家受粉と自家受粉の差

 このことは専門的な事柄なので、一般の栽培家には興味は持てないかもしれませんが、レベルの高い人には必要な知識です。

ストレリチア栽培の初期の頃、原種だけの栽培から、人工交配に進み、それが手軽な自家受粉が多かった為に進歩が遅れた、と前に述べました。ストレリチアは自家受粉を嫌う植物なのですが、それでも、種子もでき、苗も育ちます。他家授粉との差は遺伝上の事柄なので、外見上の違いは殆どありません。このために区別が出来ず、混乱を生んでしまったのです。

 個体同士は判定は難しいのですが、集団となると、その性能の違いが見えてきます。

他家授粉は遺伝が分離するので、様々な変化の広がりが出ます。ピンからキリまで出るのです。これに引き換え、自家受粉では、大きな変化はなく、全体が沈滞したような感じとなります。これは他家授粉が雑種強勢を示すのに、自家受粉は純系に近い弱さが表われてくるのではないかと思われます。但し、これは、あくまでも全体の印象であって、一株だけをとり出したら、もう、違いは、はっきりしなくなってしまいます。これが一時、ストレリチアの進歩を停帯させた原因の一つではないかと思っています。その後、研究が進み、他家授粉が主流となってきて飛躍が始まりました。

 私は自家受粉が悪い、といっているわけではありません。必要な場面もあるのです。「メンデルの法則」に従って、一代目の雑種から親の遺伝を分離するのに自家受粉をするのです。

 しかし、こんなことをするのは特殊な専門家だけのことです。