ストレリチア秘話No.404 ストレリチア栽培の常識も変化する

 ストレリチアの花芽は早いのは6月から顔を見せ始めますが、主力は8月から9月にかけてで、彼岸すぎから 10月初め頃で、ほぼ終了します。わりと短い期間に集中するのですが、これが開花に至るころには、半年近くにも分散してゆきます。顔を出した頃はおくても、開花の頃には寒くなるので、最初は僅かな開きだったのに、後になるほど差が大きくなるのです。

 これが今までのストレリチアの常識だったのですが、それなのに、これに当てはまらない状況が起きてきています。この立役者が「ジャンセアゴールド」なのです。勿論、他の品種同様に暑い季節にも花芽は出しますが、それは半分程度で、残り半分は涼しくなったた10月、11月に出てきます。それは今までの品種でも、たまには起きていた事ですから珍しいことではありませんが、冬に入った12月、数は少ないながらも1月になっても、未だ出てくるのもあるのです。これは今までの常識では考えられない現象といってよいでしょう。結果として、「ジャンセア ゴールド」は「遅咲き、超遅咲き」が出てきています。正確にいえば、やや、葉の大きい「パーヴィフォリアゴールド」も兄弟ですから同じ遺伝を持っていますので同じ反応を示します。

 初心者の時代から苦労して身につけたストレリチアの知識、技術も一生不変ではありません。時と共に塗り変えられてゆくのです。それでも、AIほど速く進歩するわけではありませんから、「ストレリチア おまえもか」と騒ぐほどのことでもありません。赤の女王に、「ノロマなやつじゃ」と叱られても、力いっぱい駆けなくて、せいぜい、歩くの速めるぐらいでよいのです。それがストレリチアの良さなのですから。