ストレリチア秘話No.689 人工灌水と自然降雨の違い

 私の栽培場は以前はガラス温室でしたが現在では、すべて露地栽培で、違いは日射量だけでなく、水のやりかたにもあります。実は、これには大きな差があるのです。

 温室栽培の時の水やりは、すべて人工濯水で、いくらストレリチアが乾燥に耐えるとはいえ、回数が多かったのですが、現在のように、自然栽培では雨が代ってくれますから、ぐっと少なくなっています。

 違ってきたのは、回数が減って楽になっただけではありません。水の効果の差です。人工水だけの時は、十分、たっぷりとは言えず、不足気味が多かったのですが、雨任せになると、十分過ぎる程の量になったのです。これがストレリチアの生育に違いが出ることをまざまざと教えてくれました。極端ないい方をしますと、ストレリチアの表情がみずみずしくなり、自生地の姿に似てきたことです。それほど温室栽培の時は、干かからびていたとも言えるでしよう。この点では地植え栽培は雨ざらしですから問題はありません。

問題は、十分な水の量のある、なし、だったのです。人工水は井戸水、自然の雨とでは水質に違いはあるかも知れませんが、ここでは、そこまで踏み込めません。また、どちらがいいともいえないです。人工灌水の至らないのは量が不十分なのですから、補いをつければよいだけです。ただ、困るのは、気分的に、中々、そうなってくれないだけです。雨に頼る方も問題があります。

 日本の気候はストレリチアには雨量が多すぎるのです。自生地の年間降水量が500mmであるのには、対し、私の地域は1800mあるのですから。年によっては梅雨の長雨が多すぎ、ストレリチアの葉に黒点が生じたりなどのの被害も出ることがあります。

 また、花の季節の雨は、花にシミを生じさせてしまいます。どちらにしても、いいことばかりはありません。その点では、人工灌水のほうがコントロールが利く、といえましょうか。

 それも技術次第です。