ストレリチア秘話No.447 ストレリチアの補給活動

 補給とは軍隊だけのものではなく、あらゆる活動に必要なものです。勿論、生物の生活は補給の連続ですから、ストレリチアだって例外ではありません。

 私の仕事の中心はストレリチアの育種です。花の交配をするわけですが、それには、まず、優秀花の花粉を採取する作業から始まります。これが、思うと通りに進まなくて困る事が多いのです。目指す親株の花がなかなか咲いてくれなくて、じれったくなってしまうことがしばしばです。他の必要ではない花は、親株に力があるために生長が早く、どんどん伸びて開花するのに、花粉を採ろうとする花は、なかなか育ってくれないのです。原因は分かっています。生長に必要な養分の補給に大きな差があるからです。それは、出来てくる種子の数にも飛響してきます。このことは、優秀花が、みんなこうだといっているわけではありません。ある時、こんなことがあったというだけです。

 この補給の問題を、わざわざ独立した章として取り上げたのはストレリチアには誤解が広まっていて、簡単には消えないからなのです。養分と、その補給には、植物は大きく二つに分かれるとみています。一つは養分の補給が生長だけでなく、他の分野、例えば、花立ちにまで影響を及ぼすものと、補給は補給だけにとどまり、他の分野にまでは関係しないもの。に分かれます。ストレリチアは後者なのです。

 ストレリチアに肥料や水をたっぷりと、温度も適温に、などして力をつけてやれば、太った、立派な花を咲かせることが出来ます。しかし、花立ちを多くすることまでは立ち入ることは出来ません。やれることはDNAの指令いっぱいまでなのです。

 私の所へ来るストレリチアの栽培相談では、肥料についてが多くあります。きっと、肥料のやり方次第で力をつければなんでも可能になるに違いない、と思ってのことでしょう。

 それに対して私の答えが、「適当でいいですよ」とそっけないので、首を捻ってしまうお客さんが沢山います。「(ゴールドA)の系統はリン酸分が欠けるとの色がキレイに出ません」ともいいますが、お客さんの意識は植物を大きくしたいだけですから、真剣には聞いてもらえません。でも、このことは、窒素分をいくら多くやっても解決出ることではありません。

 栽培には、ストレリチアの性格を知ることが基本となります。