ストレリチア秘話No.461 ストレリチアの寒さに強い部分茎(葉柄)の働き

 ストレリチアの寒さに対しての抵抗は部分によって差があります。一番、弱いのが花、次が葉で、中心となる茎、つまり、葉柄は意外と強いのです。これには、訳があります。

 近頃の研究によると、ここがストレリチアの生命活動を支えているらしいのです。そうとなれば、ここは大事な部分ですから、何とか守ろうと丈夫な構造になっているのかも知れません

 レギーネが光合成工場である大きな葉が持てたのは、自生地が温暖な海岸地帯だったからで、ジャンセアは寒さに弱い葉は捨て、葉柄だけで生きなければならなくなったのでしょう。

葉柄は解剖してみると、複雑な維束のネットワークで構成されています。根から吸い上げた水や肥料分はここを通り、葉や茎で生成された澱粉も運ばれます。ここまでは早くから知られていたのですが、近頃の研究によると、情報の回路、動物の神経にあたる電気宿号の通り道でもあるらしいのです。物資を運ぶ幹線道路の働きだけではなかったということなのです。電気インパルスが伝わる器官でもあるそうなのですが、情報が、どこで発言され、どのように伝達されるのか、までは、わかっていません。

 我が家の露地の投げだし栽培場での観察によりますと、平年の寒さでは、葉だけが凍り、業柄は残りますが、大寒波の年は、葉柄までもやられます。それでも、全部ではありません。凍るのは古い茎で、若い葉柄は生き残ります。見た目では、古い方が丈夫そうで、若い方は、まだ、柔らかく、弱そうなのに、寒さに対しては逆だったのです。私には、これが不思議に思えてなりませんでした。しかし、今では、同じ維管束でも、古い方は役目を終えかけているのに、若い現役は働き盛りだから、守られているのだろうと推測していす。

 このように、研究が進んでくると、起きた現象の解釈まで変わってくることに戸惑し隠せません。