ストレリチア秘話No.692 栽培に労力が掛からない これがストレリチア最大の魅力ですが?

 趣味であれ、営業であれ、じぶんが関わった対象の価値が将来も、どんな価値を持ち続きけていることを把握できているか、どうかは何事よりも優先する条件です。簡単に言えば、ストレリチアに関わったことが、将来、どんな結果を生むかの見通しをもっているか、どうかです。これは自分がしたことが利益を生むか、どうかを計る打算のようにも見えますが、私は、そうは思いません。自分の人生に関わる重大問題として捉えるべきでしょう。

「ストレリチア秘話」の読者の中には、この問題に真剣に取り組もうとする人もいるはずです。本腰を入れてストレリチアに関わろうとすれば、否応なしに突きつけられることだからです。

 私はストレリチアと出会って以来、60年が過ぎました。「秘話」には栽培技術だけでなく、余分と思われることまで多くとりあげているのは、ストレリチアと付き合うには、技術だけでは済まないと思っているからです。

 この章のテーマに掲げたことは重大な意味を持っています。ストレリチアは確かに植物としては珍しいほど労力がかかりません。有り難い植物なのです。だがこれが困った問題を引き起こすのです。

 私たちは楽な仕事に出会えば、つい、それによりかかってしまいます。そこが危険なのです。ストレリチアに関わった多くの人が、楽に育てられるために、じきに勉強しなくなってしまいます。ストレリチアが労力がかからないのは、初めから人間の世話を当てにしていないからなのです。馬でも何でも、生まれつきの才能は重要です。でも、それを活かすには調教や訓練があってこそなのです。残念ながらストレリチアの世界では、そうはならなかった方が多かったように思えます。

 ストレリチアの持つ好条件は活かしてこそのものなのです。寄りかかるだけでは栽培とは言えません。