これは、ストレリチアにとって、最も基本的なテーマです。しかし、数千万年も前に起きた出来事であり、しかも、人間とストレリチアの間にはコミュニケーションの回路がありませんから、話を聞くことが出来ません。結果として、推論するしかないのですが、まあ、あまり、大きく、外れていなければ許される程度の「お伽話」として受け取ってください。
「いったい、花が、どうして鳥の形をしているのでしょうか?普通の花に比べて、あまりにも奇妙過ぎます」
「なぜ、花びら(実は萼)がオレンジ色なのでしょうか?他の花のようにピンク色があってもいいのに!不思議です」では、この謎解きをしてみましょう。
昔、むかし、何百万年前にもなるでしょうか、レギーネがアフリカ大陸に誕生しようとしていました。子孫をふやす種子を生むには、まず、花に花粉が付いてくれなければなりません。それを運んでもらうには、
1,風まかせ?
それは花粉を大量につくらなければならないから、無駄が多すぎる!ストレリチアの花は一斉に咲くのではなく、分散するのだから。
2, 虫に頼ろうか?
それも悪くはないが、他の花の花粉まで持って来られたんじゃ迷惑だし、こんな風の吹きさらしでは、虫も飛んでくるのに骨がおれるだろう。
3,小鳥に花粉を運んでもらえばよいではないか。
それがいいかもしれない、近くのアロエの花は、もう、サンバードにやってもらっているよ。それはいい!鳥なら、遠くからでも飛んでこられるし、風が吹いてもびくともしない。
と、ストレリチアは鳥媒花になることに決定しました。鳥に来てもらうのに甘いも用意しなければなりません。それでも、まだ、何か不足の感じがしてならないのです「そうだ!遠くからでもわかってもらえるよう、花を鳥の形に似せよう。今まで、そんな花はなかったから珍しがられるだろう。サンバードにだって魅力的なはず。色もアロエのようにオレンジがいい。ブッシュの緑の中では一番目立つ!!」このようにして、あの、ストレリチア独特の花が誕生したんじゃないでしょうか。本当のことは分かりませんが。
最初のストレリチアが誕生したのは、数千万年前で、そろそろ、恐竜の時代が終わりかけ、地球が新しい時代にさしかかった頃らしいのです。今までとは違った気候の中で生き抜くために新しい方法を試す試みが次々と起こってきた時代のようです。そんな雰囲気の中だからこそ、奇妙な花のストレリチアが生まれるチャンスがあったのでしょう。その後、数百万年前になって無茎のレギーネが生まれ、洗練された形のストレリチアとなって現在に至っています。
進化とは、目的のある意志からではなく、無作為の偶然の連続であると考えられています。それでも、たまたま起きた事柄が、最終的に方向ずけられて決定されてゆくには、時代の風潮のような、何らかの働きが掛かっているように思われます。私が述べた1~3は、初めから、そのような意識があってしたのではなく、結果として、その方向に動かされる雰囲気があった、と解釈して頂きたいと思っています。
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