ストレリチア秘話No.467 ストレリチアにも倍数体ありや?

 農作物には倍数体が使われているものが数多くあります。4倍体で大柄になるので喜ばれている野菜、3倍体で子を付けない点が利点となったバナナやスイカ等、数え上げれば沢山あります。普通の植物は父、母から、それぞれ、1ゲノムずつ受け継いだ2倍体の染色対数を持っていますが、倍数体は、この数が多いことから、大柄になり易く、性能も張れたものが多い点が利用されているのです。

 ストレリチアではどうでしょうか。研究が遅れている植物のせいか、まだ、倍数体の存在は認められていませんが、私は、それらしき個体は発見しています。オレンジプリンスの中に2個体ありました。並外れた大きさで、花も良好でしたが、望まれて買い取られてしまったので、残念ながら手元にはありません。このころ、オレンジ プリンスは切り花用に大量に育苗しましたから、突然変異の出現率が高かったのでしょう。私、自身はゴールドクレストの養成で手一杯で、とても倍数体の研究までは気が回らなかったのです。

 今となると残念ですが、間に合いません。

 それというのも、4倍体、3倍体の倍数体は、植物体が大きく、場所をとるので、単位面積あたりの収量の点で不利なのです。ストレリチアは葉や茎は商品ではありませんから。

 有利な点は、花が大きいことだけで、これとて、そう需要が多い訳ではありません。結局、本当に4倍体であることを確かめるに至りませんでした。

 現在でも、大きなストレリチアは喜ばれませんから、倍数体に他の用途があるか、どうか等の研究対象でしかありません。それでも、まだ、パーヴィフォリアやジャンセアでは現われていませんので、多少の期待は持っています。