ストレリチア秘話No.479 ストレリチアの旅は楽ではありません

自然ではストレリチアが移動することは、先ず、ありません。種子は別です。ところが、人の世界では頻繁に起きます。でも、生きている植物が移動するのですから、それなりの配慮が必要です。車で運ぶ場合は何の問題もありません。側には生きた人が付いているのですから。しかし、輸送機関に頼る場合は気をつけなければならない点が多くあります。

1.気温25度を越える季節は輸送しないのが無難で、30度を超えたら危険です。蒸れてしまうのです。冬の北海道へ送る場合も、凍る恐れがあります。

2.箱は密閉するのではなく、通気用の小さな穴を開けて送ります。植物も呼吸していることを忘れてはいけません。

3.水分を含ませた新聞紙で包む程度で、それ以上の水気は必要ありません。ストレリチアは貯蔵根を持っていますから数日程度の乾燥にはビクともしません。

 国際間の移動もあります。大航海時代から植物の大量の移動が始まりました。初期の頃は生きた植物の輸送は困難を極めましたが、失敗の連続からの教訓で現在では安全になってきています。それでも危険をくぐっていることに変わりはありません。

1.問題は日数がかかることです。例え、航空機に頼っても、国内とは事情が違います。それでも、ストレリチアは長期間の移動には耐えてくれますから安心です。

2.大航海時代のように塩水を浴びたり、日中の高温にさらされることはなくなりましたが、1万メートルもの上空では気温はマイナスでしょうから、ちょっと心配になりますが、旅客機の荷物室では心配ないらしく、被害が起きたことは聞きません。

3.一番の問題は法律上の障害です。海外からの持ち込みでは、出国時に規制はありませんが、入国時には「植物検疫」の審査を受けなければなりません。前々から厳しかったのですが、「動植物の保護に関するワシントン条約」の発効以来、ますます、厳しくなり、野生と疑われると、輸出国政府の証明書がないと通関出来ません。海外からの植物の持ち込みは簡単なことではないのです。その点、この難関を突破してきた「ゴールド A]「マンデラスゴールド」「ジャンセアユイテンハーグ」「パーヴィフォリアセットラーズパーク」は、そのものの価値だけではなく、越境の強者でもあるとさえいえましょう。何しろ、私と一緒に10日以上も旅をしながら日本へやってきたのですから。