ストレリチア秘話No.483 ストレリチアにも弱い部分がありました

 ストレリチアは全体が丈夫に出来ていますから、弱い部分はないように見えますが、それでも、系統によっては扱いが不適当な場合は弱点を露呈します。

 その一つは、花の首に当る部分が柔らかく出来て、自分の花の重みに耐えられず、曲がって垂れ下がることです。全部のストレリチアが、この症状を起こすわけではありません。花首が良く仲びる系統の中の一部分に過ぎません。

 名花「マンデラスゴールド」も起きやすいのです。冬の初め頃、気温が下がって来て、花芽の生長が鈍ってきた頃、ハウス栽培では、夜の気温が低く、あまり生長しないのに、日中だけが高温になり、適温の25度を超えて30度にもなった時、急激な生長で組織が柔らかく出来たときに起きやすい現象です。秋の初めでは、30度を超える日は珍しくありませんが、こんなことは、滅多に起きません。それは夜も高温で、昼夜の温度差が少ないからです。つまり、低温だからと、ゆっくり構えているいるところへ、急に高温にさらされた事から起きた現象といえましょう。ことは人が仕掛けた失敗で、換気不十分が引き起こしたことなのです。日中でも高温にならない外気の中の自然栽培では、こんなことは起きません。ハウス栽培だけでの不注意が起こすことですから、心配は要りません。

 また、交配の子どもである「ゴールドクレスト」は片親の、花首に全然問題のない「ゴールド A」の遺伝が入って、この欠点は除去されています。

 でも、世の中とは面白いもので、ある人が、この首の曲がった花だけを集めて出荷したところ、変わった花を喜ぶ人たちの目にとまり、格別の高値で取引きされました。これなどは「怪我の功名」といえるでしょう。