ストレリチア秘話No.485 ストレリチア・タダの変化と望ましい変異

 前章の続きです。ストレリチアが時に見せる変わった表情には二種類あると思います。一つは環境条件の違いから生じる変化と、もう一つは、DNAの変化によるもので、こちらは植物学では「変異」と呼ばれています。この両者は、似たもの同士ではなくて、本質的に違うのです。

 花の首が曲がったり、花色が変わったりは、環境条件が変わったためで、条件が変われば、反応も変わってしまいます。つまり、一時、変わったからといっても、それは固定したものではなく、不安定です。これに対し、黄色種のような変異は、遺伝子の変化ですから、環境が変わったからといって、対応が変わるわけでない根本的なものです。難しいことにふれましたが、この混同は、ハッキリさせておかなければなりません。こんなことに首をつっこむのは、ストレリチアが頑固で滅多なことでは起きないことが、たまに起きると大騒ぎして、間違った解釈がされやすいからなのです。

 それにしても、それが望ましい遺伝子の変異であれば大歓迎です。でも、頑固なストレリチアは我々の望み通りには動いてくれません。例えば、青い花のカーネーションやシクラメンのようにです。でも、強行したとしても、それが自然の「掟」に反する変化であれば、いいことは起きません。ストレリチアにはストレリチアの限界があるのかも知れませんから。

 まあ、考える程度で止めておきます。私って、意外と保守的なんです。