ストレリチア秘話No.505 ストレリチア 花の観賞の奥深さ

 「徒然草、」ではありませんが、花は盛りだけが鑑賞価値があるわけではありません。とはいっても、「わび、さび」の境地にまで達したことを述べようとしているわけではないのです。凡人のレベルで、花の美しさを見る範囲を広げようとしているだけです。

 我が家の軒下に並べてあるストレリチアの中で、一際、美しい姿を見せているジャンセアが一鉢あります。花芽が30cmほど伸びてきたところで、開花は、まだ、当分、先のことでしょうが、蕾の先端部分の紅色が他の、どの花よりも鮮やかな輝きを見せてくれています。しかも、これに気づいたのは半月も前で、それ以来、毎日、眺めるのを楽しみにしているのです。

 これなら★★★★★星に違いない、とラベルを確かめてみると、何と★★★★星なのです。前の年までの花の私の評価です。これはきっと、開花に至ったとき、花の他の部分に不足があったからに違いありません。今年も開花に至れば同じだろうと思うのですが、何とも釈然としません。花の美しさの評価は私の仕事のひとつです。それには、様々な条件を判定するのですが、主観がついて回るのは避けられません。その上に、この花のように、途中の経過では素晴らしくても、花として仕上がった時に薄れてしまう場合は、どう、評価すればよいのでしょうか。(蕾の赤い色は、最初は濃くても、開花に至る頃は薄れてしまうのが普通です)私は今、このジャンセアの評価をどうすればよいか悩んでいます。私の評価は主観的であっても、一般に通用すると客観になってしまいますから慎重なのです。せいぜい、「蕾は★★★★★、花は★★★★」がいいとこかな、と思うのですが、これも回りくどいな、との感じも残ります。

 花の観賞といっても、非の打ち所も無い優秀花を愛でるのもあれば、個性的な美しさを求めることもあります。その上に、開花途中の蕾を相手にすることだってあるのです。

 花の美しさの判定も同じです。見方によって評価が変わるのは避けられません。