生物が生きるとは、生存のための活動の連続とでもいえましょうか。ストレリチアの生命維持活動を手助けすることが栽培なのだと言い換えることもでます。ところが、この活動は幅広く、数多くの条件に支えられていますから複雑です。それも同時には行えないことが多いので、優先順位を決めて、それに従うことになります。
最優先しなければならないのは「生命の維持」つまり、生きるか、死ぬかの瀬戸際に関わる条件です。
1,日照
光合成のため、また、硬い体の維持に、ストレリチアにとっては必須条件ですが、生命維持となると最優先ではありません。
2,乾燥
水分がなくなるとストレリチアは生きてゆけませんが貯蔵根がありますから、枯死に至るまでは何ヶ月もかかります。従って優先事項とはいえません
3,水のやり過ぎ
一回や二回では被害はありません。長期に続けるのがよくないのです。
4, 過肥、薬害
適量を超えると起きますが、常識の範囲内なら大きな被害になりません。
5,高温障害と通風不足
ストレリチアは、相当な高温にも耐えます。余程の非常識な環境設定でない限り、大丈夫です。ピンとはこないことですが、何だか、わけがわからず調子が悪くなった時は、原因は大抵、通風不足です。ストレリチアも呼吸しているのを忘れてはいけません。
6,低温障書
これが最大の問題です。0度以下の低温にさらされるとストレリチアは短時間で凍ってしまいます。こうなるともう、取り返しが付きません。最優先のことがらです。施設に頼らない栽培では、真冬は室内に取り込むのが安全です。花付きなら尚更のことです。ただし、これには留意が必要です。日当たりの良い環境を望むストレリチアを暗い室内に閉じ込めるのですから、いいことではありません。出来たら避けたい処置なのですが、しかたなく、やらなければならないのです。これを承知の上でやればなんとかしのげます。
幸い、ストレリチアは活動休止状態に近いので、日に当っての光合成ができなくても、なんとか耐えてくれます。それでも、期間は短いに越したことはありませんから春が来たら早めに出してやる配慮が必要でしょう。兎に角、生きるか、死ぬかが最優先で、養分補給は二の次、三の次の問題なのです。この点、葉のあるレギーネは、長すぎると表情に表われますが、ジャンセアは平気な顔をしています。
これと似たような処置ですが、我が家の圃場の防寒対策は、ハウスの骨組みの上に霜除けに遮光用のダイオネットを張っただけです。明るさの点では室内よりはいいでしょうが、それでもストレリチアには暗すぎます。でも、なんとか開花を続けているところをみると、きっと、ストレリチアが生きられるギリギリの線ではないでしょうか。このような苦労をしながらの栽培ですが、今更、昔のガラスの温室栽培に戻る気にはなりません。施設に頼る際培では、条件解消の代償が、あまりにも大きいからです。