ストレリチアの無茎種には、レギーネもパーヴィフォリアもありますが、究極に辿りつくのは、はジャンセアである、と思っています。それは、今までの植物とは違った、独得の形質を持っているからです。それだけに、まだ、人気は今イチです。それは、あまりにも、はみだした性格のためで、なじむのに時間が掛かるためらしいのです。世の出来事は、
「異端から始まり、常識となって終わる」
と、よくいわれます。流行でも初めは「そんな変なもの」と白い目で見られることから始まり、徐々に慣れてくると、違和感がなくなってきて、終いには、極く、普通のもの扱いになり、時には、それを持っていないと一人前ではないと思われてしまうほどになってしまいます。私は、ジャンセアが、この道を辿っているように思えるのです。
それでは、ジャンセアの、何が、普通の植物の常識をはみ出しているのでしょうか。
1,直線で構成されているフォルム
普通の植物は直線部分は殆ど無く、主に曲線が集まって出来ています。これが私たちに柔らかい感じを与えて、気分を安らかにしてくれるのでしょう。それに対してジャンセアの直線は、ピーンと張り詰めた緊張感があるように思われます。人に与える印象が違うのです。でも、ジャンセアに花が咲けば、美しい彩りが、潤いを与えてくれて、一風、変わった世界へ誘ってくれます。
2,室内の環境にも或る程度、耐えてくれる。
葉のあるレギーネは、葉が日光に当らない環境では、そう、長くは耐えられません。その点、ジャンセアは敏感な葉がありませんから、少々、長くても平気です。これは、室内に植物を置きたい要望に応えられる長所です。つまり、観葉植物としての機能が果たせるのです。ただし、この環境では、光合成が出来ないために花芽が作れません。そのため花を見るには交代要員が必要になります。それにしても、良い環境とはいえませんから、優秀品種を使うわけにはいきません。普通か、それ以下の品種で十分です。
3,生長が遅く、形が崩れにくい
いくら気に入った姿に仕立てても、やがて、乱れた姿になってしまうのでは幻滅です。でもジャンセアは、ゆっくりと締まって育つので姿が大きく変わることはありません。成長期に水を多くやると、柔らかく育つことが起きますが、そう頻繁ではないようです。それでも暖かい季節は、室内に長く置くのは避けた方がよいでしょう。
4,乾燥に強い
葉がないために水分の蒸散が少なく、結果として水やりの回数が減ります。つまり、栽培が楽なのです。それでも、水は必要量よりは多い方が育ちはよいのですが、これは高等技術に入るでしょう。室内に置く場合、これは有り難いことです。
5,開花期が遅いものが多い
これは必ずしも長所とはいえないかもしれませんが、ストレリチアの花が少なくなった頃に咲いてくれるのは有り難いことでもあります。
6,カチカチで丈夫な体
全身がクチン質で覆われ、丈夫で傷付きにくい構造ですから、扱いに気を使うことはありません。「蹴飛ばしても、転がしても平気」などという植物は、そうそう、あるものではありません。
7, もう少し穏やかな反応を望むなら「小葉系」か「パーヴィフォリア」を今まで述べてきたのは、ジャンセアでも典型的な無葉系についてです。これが極端過ぎると思われるなら、小さな葉の付いた系統なら反応はもっとゆるやかです。いろいろと試してみるのも楽しみが深くなることでしょう。
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