ストレリチア秘話No.510 ジャンセアゴールドが生まれるまでその2

4, ジャンセア、パーヴィフォリアが現われる

 ストレリチアの主な流れとは別に、脇の方でも変化が起きていました。レギーネもパーヴィフォリアも、その存在は早くから知ってはいたのですが、私がレギーネの改良に集中していたため、片手間に少量の苗を育てるぐらいにとどまっていました。それでも、徐々に知られ始め、ノーリーフなどという世界には通用しない和製英語まで付けられるようになって来ました。ところが、関心を持った人が手に入れようとしても、本物には、なかなか、お目にかかれません。そこで、レギーネの美生の中から出た細い葉の系統をジャンセアとして通用させる混乱まで起き、現在も、まだ、続いているようです。

 この系統は、ストレリチアらしい頑固さを強く持っているのが特徴ですが、それだけに、優秀品種を選ばないと手こずることが多いようです。この点の改良が望まれるのですが、それには、バックアップしてくれる需要が必要です。

5, 待ち焦がれたジャンセア ゴールドの誕生

ジャンセアには、長い間、黄色種はありませんでした。原種に一株あったのですが、残念ながら不稔性で増殖されていなかったのです。誕生の詳しい経緯は他の章にゆずります。この章はストレリチア全体の流れを見ようとしているのですから。このジャンセアゴールドの系統を、ただの黄色種とみてはいけません。私には今まで進めてきた品種改良の総決算のように思えるのです。その特徴は

1, ジャンセアの遺伝を受け継ぎ

2, 黄色種の遺伝も合わせ持ち

3, レギーネの遺伝まで加わった

 ことです。これは、現在、集めることが出来るストレリチアの遺伝、すべてなのです。

しかも、こに中の優れた形質が、こどもたちに見事に受け継がれ、表現されているのを見ることが出来るのです。鮮やかなの色、花立ちの良さ、生育の早さ、優しさまで感じさせる草姿、ついでに望んでもいなかった矮性種の出現まで・・・・・。とはいっても、その表れ方は個体によって違います。大部分の好条件を身につけた欲張りの「カノープス」のような優秀品種もあれば、美しいと小柄な姿の二つの長所が花茎の短い欠点などカバーしてしまう、「スカーレット」のような個性派もあり、中には、花が多く出過ぎて困ってしまうものに至るまで様々です。これほど変化の多い系統は他にはありません。これは多くの遺伝が寄り集まった効果だと考えられます。ストレリチアも、やっと、これだけ多くの遺伝子を集めることが出来るようになったのです。

 それなのに、まだ、この品種は一般に知られていません。でも、それでいいのです。

 今、急に需要が起きても、まだ、苗の数は、ほんのわずかしかありませんから、とても応じきれないのです。まだ、「お宝」の段階で、数名の人にしか行き渡っていないのが現状です。

 ストレリチアのたどってきた道を振り返ってきましたが、これからのストレリチアの将来は、

「品質の向上と品種の多様化」にあると見ています。