ストレリチア秘話No.516 ストレリチア栽培の究極の極意は「好奇心」にあり

 前の章で、何の役にも立たないようなことに関心を寄せるご苦労様な人物のことを書きました。ところが、よく考えてみると、ここに重要なポイントが潜んでいるようです。以前の章で、ストレリチア栽培では、最初の頃は意欲が高くても、次第に熱がさめ、「十年、一昔」のような気分になって、気がついた頃は、もう、どうにも身動きがとれなくなってしまう。ストレリチアには、人の神経を麻痺させてしまう、そんな魔力があるのかもしれない、といいました。

 これは、例え話として解説したのでありまして、実際には、くわしく分析してみる必要があるようです。それには、まず、ストレリチアが他の植物とは少々、違う点があることを自覚しなければなりません。その、一番、大きな事柄は、生長が遅くて、反応が鈍いことで、これが人間の感覚とずれやすいことにあります。私たちは自分中心に物事を受け止め易いですから、ストレリチアの都合にはお構いなく、「なんて動きが遅いのだ、これでは、やっていられないや」と、放任してしまいがちです。

 それでも、世の中には好奇心の旺盛な人もいて、一見すると、つまらないことに思えることがらにも関心を持ち、そのことに執着、こだわりをすてないのです。案外、これがストレリチアと相性が良いと思われます。相手は常識を越えた植物ですから、これが、その壷にはまることも起きてくるのです。今までは思いも付かなかったような疑問を持ちだしてくることは大歓迎です。

 好奇心の対極は常識的でしょうが、常識からは新しいものは生まれません。ストレリチアも望んでいないと思うのです。幸いなことに最近、好奇心あふれる人物が二人現われてきました。私は、このような人物が、ストレリチアの将来を開拓してくれると思っています。