ストレリチアの鉢植えは移動自由ですから間隔は問題になりませんが、地植えの場合は大問題です。なにしろ、一度植えたら最期、問題が起きたからといっても、掘り上げ、移植は簡単ではないからです
私は、約30年前、或る観光摘み園にストレリチアの植え付けを依頼されました。そこで私が考えたのは、「少なくとも20年間は植え替えはしない。ストレリチアの植え替えは大変な労力がかかるから」
と、株間120cm 通路240cmとしました。これは一般の感覚では、非常識なほど広すぎるのです。でも、私には長い間の経験もあり、また、花立ちの良い系統と悪いものの増え方の違いも分っていました。その後、葉が繋ってきて、お客さんの体にふれるようになったので、仕方なく植え替えを始めましたが、実は、その時は、もう20年を過ぎていました。
その頃、近くのストレリチアの切り花栽培農家が、同じように栽培していましたので、結果として比較することになってしまいました。こちらは、初めから密植ともいえる間隔で、通路などはありません。しかも、植えられているのは古い系統で花立ち悪く、結果として、よく殖えるものでした。このため、数年後には繁茂して、中へ入るのが容易では無い有様となり、植え替えが必要な状態となってしまいました。20年後、私が植え替えしたのが一回であるのに対し、こちらは、その間に3回もやっていました。それでいて、余り植え替えの痛みが目立たないのは、増えの良い系統は回復が早いからです。だからといって、いいことがあるわけではありません。
花摘み園のゴールドクレストは植え替えの際、2割を残して株分けし、残りの8割は捨てることにしました。最初に植える時に選抜し、又と、2度もやったわけですから、残ったのは精鋭の集団です。農家の方も、3回も選抜した筈ですが、質が上がったようには見えません。「どんぐりの背比べ」集団は、選抜しても、大して、よくならないのです。結果として、その差は開くばかりです。
これからストレリチアの地植えを計画中のかたは、少なくとも20年は保つ植え方をして頂きたいと思います。それには、適正な植え付け間隔と植えるストレリチアの性能が大きな問題です。