ストレリチアの育ち方には二通りあります。一つは大型の有茎種で、一本の茎が伸び上がり、長い間、生き続けます。このままでは、いつまでも一本のままですから、増えるためには根元から子株を出します。それが、また、茎を伸ばして孤立化してゆきます。もう一つは、小柄な無茎種(レギーネやジャンセア)で、叢生型です。こちらは、いつまでも一本のままではなく、成熟すると株が二つに分れ、翌年にはそれぞれが一人前になります。最初は、まず二本に筋を持った葉柄が現われ、次ぎに二本の葉柄が現われて、二株となってゆきます。
この時の葉は無理な力がかかったような奇形ですが、次の葉で正常な形に戻りますから、気にすることではありません。
ところが、ストレリチアには叢生の無茎種でありながら、孤立系の無茎種と同じ増え方、つまり、子株をだす増え方をするものが時々、現われます。頻度で言えば、そんなに珍しいことではない程度です。同じ、ストレリチアであることですし、また、私、個人の説のように、無基種は有種から進化したものである、によっても、少しも不思議はありません。
ところが、わざわざ、取り立てて問題にする理由があるのです。株が二つに分れるのは遺伝に変異が起きることはないでしょうが、子株を産むには、その時、遺伝に変化が生じる可能性があるのではないか、ということなのです。これは理論で推し量ったことではありません。実際に子株を取って育てている中で、これは、どうも、親株、そっくりではないな、と思う場面が出ているのです。
必ず、変異が出る、といっているわけではありません。少なくとも、その可能性があるのではないか、ということなのです。これを確かめるには、これからの研究が必要です。果掛の品種改良では、「枝変わり」で現われた品種が少なくありません。これは同じメカニズムです。
* 参考までに、
この株、親は、親なりに二株に別れもします。つまり、二刀流なのです。しかも、いつぼうの剣には、隠された技が秘められているかもしれないのです。それに、この株がそうだと指定することもできません。何かの拍子で変身するらしいのです。謎があることは、ストレリチアを、ますます面白くしてくれます。