ストレリチア秘話No.589 これでも同じストレリチア?レギーネとジャンセア

 私はレギーネを相手にする時と、ジャンセアに対する時とでは気分が違います。簡単に言えば、レギーネは普通の植物と同じ感覚なのです。強い風からは守らなければなりませんし、葉や茎につく害虫の防除もしなければなりません。寒さ対策だってしっかりやる必要があります。つまり、普通の植物を扱うのと何ら変わりはありません。

 ところがジャンセアを扱うようになると様変わりしてしまうのです。雨が降ろうと、降るまいと、お構いなし、水やりは思い出したらやる程度でいいし、障害に強いこと、この上なし、と、丸っきり手がかからないのです。今では私のお気に入りのストレリチアとは「ジャンセア」になってしまっています。とにかく、気を使わなくてもよいのです。労力も、あまり、かかりません。こんな有り難い植物は、そうそう、あるものではありません。

 それなのに、一般の人々は、乗り気にになってくれません。多分、植物とは、葉があるものとの先入観があるからでしょう、葉のない姿に違和感があるらしいのです。私は、付き合いが長いために、慣れて、気にならなくなり、長所にばかり目がいってしまいます。

ジャンセアが、このような形質を身につけたのは、今まで住み慣れた故郷の環境から、もっと乾燥した、厳しい地域に移住しなければならなくなったからでしょう。乾燥地の植物である多肉植物に近づいたのです。とはいっても、完全に、という程ではなく、似てきたというだけで、ストレリチアらしさも、まだ残しています。ここが誤解を生みやすいところなのです。

 ジャンセアは乾燥に強いです。でも、それは、耐えられるのであって、好き、というほどではないらしいのです。この点を誤解して水やりを少なくしすぎると、守備専門に回ってしまい、根茎ばかり育って、全体の生育は落ちてしまいます。やはり、年間降水量300㎜ぐらいは確保しないと順調な生育は望めません。

 それでも、キチンと扱わないと我慢できないような几帳面さはなく、「いつでも良いよ、という、鷹揚さ」が有り難いのです。このジャンセアの良さが、大勢の人に分ってもらえる日がくることを願っています。