ストレリチア秘話No.590 ストレリチア 水やりの難しさ

 植物栽培で一番、問題となるのが水やりでしょう。なにしろ、「水やり3年」とのことわざまであって、一通りの技術を身につけるには3年も掛かる、と言う意味です。ところが実際には、3年ぐらいは、まだ、駆け出しで、10年や20年もかかるのが普通です。私などは60年もかけているのに、いまだに失敗の連続ですから、修行は一生かかる、といったほうが良いかも知れません。

 難しい原因の一つは、季節によって、ストレリチアの水の要求度が違うことにあります。

 これを心得ていないと、一年中、同じペースの水やりをしてしまって、合わない季節に障害を起こしてしまうことです

 夏は、大量の水が必要です。ストレリチアの生長のためだけではありません。酷暑のせいで用土の乾きが早く、うっかり遅れると根の先端のデリケートな部分まで乾いて機能不全にまでなってしまう恐れがあります。これを防ぐには、ほどほどの乾き具合のときに、次の水やりをするのが安全です。つまり、少々の水のやり過ぎぐらいは何とか消化されてしまうのです。ストレリチアも水が多すぎたときは、余分に吸い上げて蒸散させようとまで、する位です。真夏の早朝、見回ると、葉の縁に吐き出された水が水滴となっているのを、よく見掛けます。それにしても、年によっては梅雨の長雨で、困ってしまうこともあります。いくら何でも多すぎるのです。こうなると葉に黒点が発生したり、汚れたり、との障害が出てしまいます。こうなると、雨を防ぐしか方法がありません。

 次ぎに冬も問題を起こします。今度は、一度やった水が、なかなか乾いてくれないのです。冬のストレリチアは、わずかしか水を必要としていません。だからといって乾燥の連続では根を傷めますから、程ほどに乾いたら次の水をやることになります。この兼ね合いが難しいところなのです。早めにやると湿り気が続くので、ハコベのような冬の雑草が一斉に繁茂してきます。これが、なかなか、しぶといのです。土が乾燥していれば発芽出来なくて困る事はないのですが、いったん、育ち始めたら最期、次ぎに乾かしたからといって、引っ込みはしません。これらの雑草は、意外と乾燥に強いのです。これを防ぐには、どの程度、乾いたら次の水をやるかの見極めるのが大事なのですが、これが、中々難しいのです。それに加えて、鉢毎にも条件の差があります。もうお手上げです。