ストレリチア秘話No.594 ストレリチア 生命力の基は根茎(貯蔵根)にあり?その1

 ストレリチアは強い植物です。各部分に驚く程の生命力の発揮が見られますが、何といっても一番は根茎です。貯蔵根とも呼ばれるように、この根茎には養分、水分が大量に蓄えられていて緊急時に役立てられるよう準備が整っています。ここまでは他に似たような植物がありますから、珍しいことではありませんが、その全体の量が必要を遙かに超えていて、しかも、いつになっても増強が止まらないことなのです。これが私から見ると常識では考えられないほどと思えてなりません。

 ストレリチアの鉢植えは、裸の土の上に長期間、置いてはいけません。じきに鉢底の穴から根が伸びて地面に張ってしまいます。水やりを忘れても平気なので、不思議に思って調べてみた結果でした。その間、1か月もなかったのにです。

 南西諸島のストレリチア栽培を視察したときのことです。ある圃場で、「ポット植えの苗が送られてきたので、畑に並べただけです。何故って?だって業者の言う通りにしただけなんです」との答えにあきれました。「植物は穴を掘って植えるもの」の常識がくつがえされてしまったのです。目の前のストレリチアが堂々と育っているのを見ては脱帽しかありませんでした。私は、その時、以来、ストレリチアには、常識は通用しないと思うようになっています。それほど、ストレリチアの根茎の働きは凄いのです。

 近年、「植物の大脳は根にある」との考え方が登場してきています。それを当てはめるなら、ストレリチアの根茎は、まさに、その通りのように思えます。でも、動物の脳とは働きが違うようです。「海馬」のように機能が集中し、命令を発する部分は、探しても、どこにもないのです。例えてみれば、人間社会のように,独裁者や指導者がいるのではなく、住民全体が参加して決定する、素朴なデモクラシーのように見えるのです。