ストレリチア秘話No.654 ストレリチア地植えでの施肥は常識を忘れて良い

 ストレリチア栽培では施肥についての質問が多いのですが、鉢植えと地植えでは状況が異なります。その原因は根の育ち方に違いがあるからです。

 鉢植えでの根は鉢の中だけしか伸びませんが、地植えでは、ストレリチアの根は、普通の植物の常識を越えた広がりかたをします。一般の植物では、根は自分の周囲に伸びるだけですが、ストレリチアは数mを越える驚く程の育ち方をします。ところが、つまり、広い区域から水や肥料を吸収しようとするのです。これは乾燥地帯で生きるための知恵でしょう。

 こんな情況ですから、植えられてからしばらくは、根は自分の周囲だけに張っていても、数年もすれば驚くような距離にまで拡がります。それは、土質や含む水の量によっても違いがありますが、常識を越えていることは確かです。これが水や肥料の吸い方に影響していることは間違いありません。鉢植えでは根の量が少ないのですから、いつでも補給しなければなりませんが、地植えでは楽に吸えるのですから放任状態で十分です。これが地植え栽培の長所になります。

 肥料だって成長段階までは普通にやっていても、一人前になった頃には、どこからでも集めることが出来ますから、気を配る必要もなくなってきます。つまり、鉢植えとは扱い方が違って良いのです。ところが、いつになっても変えようとしない人もいるので困ったことです。

 このように地植え栽培は手がかからず、その分、手入れが出来て理想的なストレリチアに仕立て上げることが可能なのですが、実際には、楽になったことを良いことに手をかけなくなり、乱れた姿のストレリチアが多いのも事実です。いいことばかりではないようです。