ストレリチア秘話No.300 ストレリチア同士の相性

 以前にストレリチアと人の相性の話をしましたが、今度はストレリチア同士での相性です。ストレリチア愛好家の中には種子から育てようと試みる人もいます。何でも構わず種子を採ればいいだろう、とする初心者もいれば、もっと良いものを、或いは商品までを望む人までいるようです。

 志は誠に健気なのですが、中には首をひねってしまう人もいます。いい子を産ませるにはいい親で無ければ、と良い品種を買い求めます。ここまではいいのですが、これから先が問題なのです。親株は高価ですから、一株、手に入れて、それで済ましてしまう人が少なくありません。つまり、自家受粉で種子をとればいい、と考えるらしいのです。ストレリチアは自家受粉では先祖返りを起こし、性能が劣化しやすいことを知らないのです。種子を採ることは遺伝を操作することになります。それには植物学、遺伝学の素養が必要なのです。

 世に母子家庭、父子家庭がありますが、それは二次的な存在であって、元々は、男と女がいて子供が生まれるのは常識です。それなのにストレリチアを片親だけで産ませよう、なんて。

ストレリチアだって、健全な子を産ませるには、男と女、オスとメスの両親が必要なのはいうまでもありません。そこで次の難しい問題が生じてくるのです。オスとメス、全然、違う遺伝が合体するのですから、その相性の良さ、悪さが表れてしまいます。ここでいう良さとは、人が望む好ましい形質と受け取って下さい。例え、片親に後れた形質があっても、片親が拒否すれば、その遺伝は表に出ることは出来ません。しかも、困るのは、これは前もって知ることは出来ない、といってよいでしよう。つまり、やってみなければ分からないのです。

 こう見てくると、ストレリチアの種子を産ませるには、親株が一株なんというのは非常識としても、両親の二株でも、心許なくなってしまいます。どの組み合わせがいいのかが分からないのですから、安全を考えたら複数の組み合わせが必要になるのです。結果として交配の親株は数が多いに越したことは無い、ということになります。これは容易ではないことです。

 やっばり、ストレリチアを種子から育てるのは、簡単なことではないことが分かります。