ストレリチア秘話No.326 ストレリチアはどこまで変化「変異」が可能か?

 ストレリチアは品種改良によって年々、少しずつながら変化してきています。ここで、これから、どんな方向へ進むか、どこまで可能か、不可能かを推察してみたいと思います。

1,耐寒性 

寒さに少し弱いのがストレリチアの弱点ですから、この点が強化出来れば文句ないのですが、これは無理だと思っています。生物は発生の時、その環境と一体のものとして誕生します。ストレリチアも、ニコライを始めとする有茎種(大型種)は温暖、湿潤な地で、無茎種、レギーネ、ジャンセアは温帯ながら乾燥した地で生まれ、それぞれ、その環境条件が基礎となって体が出来上がっています。いわば、生命の根幹に関わる事柄ですから、これが簡単に変わることは期待できません。

2,花色

ストレリチアの花弁(正確には萼片)は、有茎種は白色、無茎種はオレンジと黄色ですが、これは花粉を運んでくるサンバードの好みに対応したものです。これも繁殖に関わる基本的なことがらですから、そうそう、簡単に変わることではないでしょう。それにしても有茎種に自色があるのですから、無茎種にだって、と思わないこともありませんが、せっかく白色からオレンジに進化したのに、また、戻る、なんて出来るでしょうか?

3, 耐病性

ストレリチアは、既に持っています。失わないように気をつけなければならないのです。交配代数が進むと失われやすいが耐病性です。

4, 草型の高低

これは難しいことではありません。矮性種は少ないながらも既にあるのですから、殖やしてゆけば良いだけです。

5, 苞の色彩
これこそが「変化」の独壇場です。ストレリチアは頑固で、なかなか変化してくれない部分が多いのに、ここだけは自由、気ままに受け入れてくれるのです。しかも、苞は花の中心で、ここが、その花の美しさを決定する部分なのです。緑色から紅まで、色の変化や濃淡まで、さまざまな変異が楽しめます。今後、ますます、美しいの花が登場してくることでしょう。

6, 開花期の広がり

ストレリチアの花は、早いものは8月半ばから開花が始まり、翌年の6月半ばまでの10ヶ月も続きます。それでも、季節によって多い、少ないの差がありますから、少ない季節を埋めることが出来れば楽しみが多くなることでしょう。

  • 若いほど開花が早く、成熟するに従って遅くなります。
  • レギーネは早く、ジャンセアは遅い傾向があります
  • オレンジは早咲きが多くありますが、黄色種は遅れます。

早咲きの初秋の頃は、まだ暑さが残り、需要は多くありませんが、遅咲きの初夏は、さわやかな気候で、しかも、人々が、まだ寒かった冬、春の気分を残しているのでストレリチアは必要とされていたのですが、数が少なく応じられませんでした。それがジャンセアゴールドの登場で一変しました。この品種は開花期が幅広く、超遅咲きまで出てきたのです。これは朗報です。

6,香りの有無

これは無い物ねだりです。嗅覚の弱い鳥を相手の鳥媒花には、必要のないことなので、その備えを持っていません。可能性を期待する方が無理なのです。