ストレリチア秘話No.373 人とストレリチアの関係

 今回も固くて、難しい話題です。しかし、園芸の記事は、栽培の方法ばかりに終始することが多く、それ以上の踏み込みは少ないのが普通ですから、たまにはいいでしょう。

 ストレリチアの存在を、あなたは、どう、把握しているでしょうか?

1,温室植物、或いは、観賞植物の一種に過ぎないと、と考えている。

こういう人は多く、大部分が、そうだ、と見ても良いほどでしょう。

2, 高い評価を与えている人

バラ、カーネーション、菊などの、なじみの多い花ほどではなくても、それに次ぐくらいの価値を持っている、と考える人たちです。「ストレリチア秘話」を読んで下さる読者は、皆、これに入るでしょう。

 私達は、自分なりに花を仕分けして評価しています。ですから、ストレリチアに対してどれだけのリスペクト、敬意を持つかは、人によって様々です。言い方を変えると、どんな印象を持つかによって、評価が違ってしまいます。以前、掲載したNo.138で庭園に植えられた二通りのストレリチアを紹介しました。一つは別荘の豪華な庭園に植えられていたストレリチアでした。ストレリチアを取り上げてくれたのはいいにしても、与えられたのは、庭でも最低条件の場所でした。つまり、庭園の植物の中では最低の評価だったのです。「おまえも、まあ、一員に加えてやろうか」程度の扱いです。それに引き換え、貧しいとまではいえないながらも、ごく普通の民家の、庭とも呼べない程度の空き地に植えられたストレリチアは、人目を引かずにはおかない輝きを放っていました。素朴な空間ながら、女王としての待遇を受けていたのです。

私達はストレリチアを身近に置いて、そのパフォーマンスを楽しむわけですが、その表われは一様ではありません。つい、栽培技術に頼るのですが、実は、その背後に敬意の差があることを忘れがちです。二人の庭園栽培の違いを紹介しましたが、栽培技術の点では二人とも、大した事はやっていないように見受けられました。大きな違いはストレリチアに対する敬意の差だったのです。ストレリチアは、使用人扱いをすれば、それに応じた反応しかしませんが、女王様とされれば、最高のパフォーマンスをみせてくれたのです。園芸では、「愛情」という言葉が、よく使われます。でも、私には、なんとなく違和感があります。それは人が主で、植物が従、というニュアンスだからです。代わりに、敬意、リスペクトを使いたいのです。これなら、対等の立場になることでしょう。

ストレリチア秘話No.137ストレリチア『お姫様』待遇から「雑草」扱いまで その1

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ストレリチア秘話No138ストレリチア『お姫様』待遇から「雑草」扱いまで その2

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