ストレリチア秘話No.138 ストレリチア 『お姫様』待遇から「雑草」扱いまで その2

 ストレリチアの在るべき姿を見て、いい気分での帰り道、100mも過ぎたところで、また別のストレリチアに出会いました。この辺り一帯は北側に山を背負った日だまりのような地域ですから、露地でも冬が越せる理想的なところでストレリチアが多く植えられているのは不思議ではありません。

今度は、みすぼらしい家ではなく、別荘風な邸宅の庭園です。お金を掛けたぜいたくな作りなのですが、なぜかストレリチアは、脇の方、隣家との塀際に植えられていました。こんな環境では、ストレリチアは花をなかなか出しません。事実、一本も見えないのです。葉も垂れ下がって元気がありません。庭園は立派でも、そこのストレリチアは幸せではなかったのです。

 ストレリチアは、お姫様か、スターのような扱いでないと、本領を発揮してくれません。脇役でもだめ、主役でなければならないのです。これが出来なければ、ストレリチアとは付き合わない方が無難です。私は、ストレリチアが、どこへ置かれているか、を見ても、その人のストレリチアへの評価が分かると思っています。

 さて、次は雑草扱いされている可愛そうなストレリチアです。廃屋の庭や畑の片隅に捨てられたように生き残っている姿に出会うことがあります。ストレリチアの大株は丈夫で、いらなくなっても、処分するのが大変なのです。結果として放置され、雑草状態となってしまうのです。それでも、花が出れば、それなりに扱ってもらえるでしょうが、こんな扱いをされるような株は、たいてい、性能の劣るものが多いのです。良ければ放って置かれることはないでしょう。こうして、花も出ないストレリチアは、邪魔者扱いされて雑草化してしまうのです。

 一口にストレリチアといっても、本来の性能だけでなく、人との出会いも運命に大きな差が生まれてしまうようです。なんとも不思議な思いがしてきてしまいます。