車であれ、歩きであれ、道路を移動していると、否応なく、庭に栽培されているストレリチアが目に入ってきます。職業柄、身に染みついてしまった業(ごう)とでもいえましょうか。優れた系統が大切に育てられているのを見ると、持ち主の人柄がしのばれて敬意をおぼえます。また、それが、まあ、まあの品種であっても、一生懸命、面倒を見ているのが分かって、ほのほのとした気分に浸ることもあります。それでも実は、こんな喜ばしいことばかりではなく、何とも、やりきれない気持ちにさせられることがあるのが困ったことなのです。でも、これが意外と多いので気になってしまいます。
持ち主が栽培を投げ出してしまって放置されているストレリチアに出会うことです。面倒を見てもらえなくなっても、ストレリチアは強いですから、健気にも頑張って生きているのが痛々しいのです。この場合、大抵は水準以下の品種が多いですから、尚更、あわれを催してしまいます。
私たちは、自分の好みに従って植物を栽培しています。ところが、これを外から見ると「その人らしさ」が表現されていると受け取られるのです。これは何もストレリチアに限ったことではなく、何事でも同じでしょう。特に鑑賞用植物は、外の人にも、よく見えるのですからしかたありません。やはり、心しなければならないようです。

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