夏の暑さが過ぎて涼しくなった秋はストレリチアの開花は順調に進行していました。ところが11月下旬辺りからバッタリと停まってしまいます。待てど暮らせど、なかなか咲いてくれないのです。実は、少しは進行しているのですが、その落ち込みが急速なので、まるっきり動いていないように見えてしまうのです。葉の生長だって同じでしょうが、こちらはあまり目立たず、花だけが気になってしまいます。その後、暖かい日が巡ってくると、思い出したかのように咲き出してくれますが、そのあと、また寒さがやってくると、また、停まってしまいます。
ストレリチアの開花は、気温に左右されます。春、秋の暖かい日といえば、最高気温は20°Cぐらいですが、秋が深まる季節、ストレリチアがなかなか咲いてくれなくなるころの暖かい日の最高温度は約15°Cです。この温度なら、日数をかければ何とか開花しますが、これ以下の寒さがやってくると、もう、停まってしまうのです。ハウス栽培なら、晴天の日中は温度が上がりますから、こんな現象は起きません。ここでいうのは、自然のままの温度のベランダや露地栽培での話です。
植物の適温とはいうものの、成育段階や部位によって違いがあります。ストレリチアの成育の適温は25°C以上ですが、生きるか、死ぬかの境目は0°Cです。それに対し、開花の適温は20°Cから25°Cで、停まってしまう境目は、どうやら15°Cのようです。初冬まではこの気温が巡ってくる日もありますから、なんとか開花出来るのですが、真冬となると、めったにありませんから、開花は望めなくなってしまいます。
実は、この問題は施設に頼らない栽培者には重要なことなのです。庭の地植えなら、尚更です。これに、どう対処、或いは回避するか、頭を悩ませます。私は暖地(東京も含みます)のお客さんには、こう助言しています。
「ストレリチアは霜に当てないでください。ベランダなら大丈夫です。心配だったら、ベランダの奥へ入れてください。もし、花芽がついていたら、その株だけは室内へ取り込んでください。ストレリチアは冬のベランダでは咲きません。室内なら15°Cは楽に確保できますし、人のいる居間だったら20°C以上のはずですから」