ストレリチア秘話No471 ストレリチア サバイバル

 高度経済成長期以来、つい最近まで、ストレリチア栽培での寒さ対策は、設備の強化、石油燃料による暖房で対応してきました。しかし、この方法は、あまりにもコストがかかるので、資源の保護や簡略化の上からも、方向を変えなければならない転回点に来ています。趣味の栽培でも、栽培が手軽に出来るようになるなら、多くの参加が見込めるでしょう。それを検討してみようとするのが、この章のねらいです。

 まず、寒さに対してストレリチアが、どのように反応するのか、ギリギリの所を調べてみましょう。植物体の反応は大体のところ分かっていますから省くとして、一番の問題は花で、凍る寒さを、どう、潜り抜けさせられるか、です。

 ストレリチアの花が凍る寒さの日は、東日本の房総半島から南の海岸地帯で、平年では2~3日しかありません。大寒波の年だからといって、そう多いわけではなく、温度の下がり方が低いだけで、この時は花ばかりでなく、葉や薬柄まで被害を受けます。ストレリチアが凍るのは、風もない穏やかな晴天の日の夜明け前から朝の数時間です。ストレリチアは寒さに弱いとはいえ、それは氷点下の温度に対してのことで、それまでの低温ぐらいでは被害を受けません。このわずか数時間が問題なのです。この短時間の危機を乗り越えればいいのですが、その時の私は、といえば、暖かいふとんの中に、ちじこまって、外の寒さを考えると起きてゆく気にはなれない状態にあります。霜除けにかけたシートやネットは風で飛ばされていても、今なら無風状態だから、かけ直せます。それなのに・・・・。

 やがて朝を迎えます。こんな日に限って穏やかな好天なのです。そこで、明るい日差しの中、凍ってしまった、あわれなストレリチアと対面する羽目になってしまいます。もう、後の祭りです。

 これが日中であれば対応出来たのに、などとは無い物ねだりに過ぎません。前もって対策を講じておけばよかったのです。風の強い地域では、霜除けのシートは飛ばされてしまいますから、或る程度の骨組みが必要で、その上で抑えれば大丈夫です。私が今、試しているのは、凍る季節を潜って咲いた花に授粉し、それを凍傷から守ることです。授粉後の花は凍る寒さに会うと種子を作ることが出来ません。そこで、スーパーのレジ袋を被せで保護しているのですが、まだ、結果はわかりません。

まだまだ、ほかにも方法があるかもしれません。この危ない数時間を潜り抜ける方法こそ、新しいストレリチア栽培法といえるでしょう。それを期待しています。