昨年、ストレリチアジャンセアの種子を播いて約600本の苗が出来ました。それを少しでも早く大きく育てようと、秋、鉢から抜いて地植えにしたのです。少し早いなと思ながらも、冬が来る前には、しっかりした苗に育つだろうと期待してのことでした。
やがて凍る寒さがやってきての結果は無惨でした。調べてみると、相当数の苗が凍って黒く変色していました。厳重な霜除けをしたつもりだったのですが、それぐらいでは効き目はなく、結局、残ったのは100本余りとなってしまいました、首を捻ったのは、大きく育った苗までもがやられていたことです。ひ弱な苗がやられるのはしかたないと思うのですが、これには納得がいきませんでした。
今年も、同じように種を播きましたが、今度は、わずか1鉢、30本足らずの苗です。去年の失敗に懲りて、植え替えをしないままの冬越しです。鉢の中は、ぎゅうぎゅう詰めで苦しそうに見えますが、遅れて出た小さな苗も順調です。今の私には小さな苗同士が助け合っているようにも見えるのです。私は考え込んでしまいました。
去年の失敗は凍る寒さに耐えられなかったのが直接の原因であるのはわかっています。でも、それだけではなかったのではないか、と思うようになったのです。ひ弱な幼い苗は、みんなで寄り集まって助けあって生きていたのではないでしょうか。それが早々と独立させられ、一人では寒さに対抗出来なかったのではないかと思われるのです。大きく育っていた苗でさえ、まだ、力不足だったのかもしれません。
今までの私はストレリチアの栽培技術を単一の株だけに限っていたのではないか、ストレリチアだって、お互いに助け合う社会生活があるのではないか。これが現在の心境です。それで、改めて思い出したのがユイテンハーグとブラックヒル自生地でのジャンセアの違いです。ユイテンハーグのジャンセアが断然、他の植物を圧倒する大集団で威張って生きていたのに対し、ブラックヒルの散在するぐらいの勢力では、まだ、他の植物への遠慮があったのではないだろうか、「ストレリチアは一人で生きているのではない」という、ことです。しかし、これは、まだ。私だけの思い込みですから、本当のことは分かりません。
それにしても、栽培技術が単一の植物個体をいじることだけでは解釈できない事が起きるのも確かですが、ストレリチアに社会生活があるかどうかは、今後の課題です。