ストレリチア秘話No.581 ストレリチアの進化は華やかさに向かっている

 我が家のストレリチア圃場の開花を眺めて、改めて感慨を覚えています。数十年前の風景とは様変わりしているのです。あの頃のストレリチアの花は、もっと地味でした。それが今見る風景は、断然、華やかなのです。

 私の所のストレリチアは、大部分が黄色種です。これは、お客さんの要望に応じるためでもあるのですが、一方では時代の流れでもあります。簡単に考えますとオレンジ色の方が黄色よりは華やかな筈です。それなのに、この風景は逆なのです。よく見ると、華やかさを演出しているのは苞の紅色だったのです。この紅色を引き立てているのが、萼片の黄色だったのです。引き立て役となると、濃くて、暗い感じのオレンジより、明るい黄色の方が断然、優れていたのです。

 ストレリチアの花は、奇妙な形で人目を引くのが特徴で、花の色は引き立て役なのですが、ここのところへきて、この役割が強調されてきているようです。それが、時には、主客が逆転して、まず、色に目を奪われ、その後、形に移る事態が起きかねません。

 こんな現象を引き起こしたのは人類です。地球の歴史、始まって以来、進化は自然の手に委ねられていたのですが、ここのところへきて、人類が介入し始めたのです。進化が我々の望む方向に動き始めたのです。これは、おこがましいことかも知れませんが、我々が手にした技術が、それを可能にしています。

 ストレリチアの花は、これから、まだまだ、華やかさを加えていくことでしょう。なぜなら、それが進行中だからです。