私はストレリチアの語り人の一人としても、ストレリチア品種の評価に関わることも多いので、その難しさについて解説を試みてみようと思い立ちました。
ストレリチア品種の良し、悪しを決める条件は数多くありますが、それぞれの条件に優先順位があるわけではありませんから、人によって何を優先させるかが違いますから事は簡単ではありません。
私は、何はともあれ、花立ちの良さを最優先事項としています。他の花なら兎も角、ストレリチアは花立ちの悪いものが多いので、これを重視しなければと考えるからです。ところが、いざ、取りかかってみると、これが簡単な事ではないと分ってきたのです。花立ちの良さと言っても一色ではなかったのです。結果として花立ちの良さといっても、大別して3種類に分けてあつかうことにしたのです。これは主にジャンセア、バービィフォリアが対象です。レギーネの場合は、これほどひどくはないからです。
・花立ちの良さが第一の品種
大部分が、この系統ですから珍しい存在ではありません。ある一時期、花立ちの良さを示してくれても、直きに疲れが出て次の1、2年は休まれてしまうのです。例え、花立ちの良いことが分っても、次が必ず保証されるわけではないので、似たような株を数多く揃えておかなければならず困るのです。
・特別多くなくなくても確実に花を出してくれる系統
これは私が一番信頼できる品種で代表は「ジャンセアユイテンハーグ」です。長い間、ストレリチアを栽培していれば、誰でも。毎年、同じ品種の花を見たくなるのではないでしようか。その期待に応じてくれる品種があるなら欲しくなるのではないでしょうか。この系統は、花は数多くなくても、毎年、几帳面にキチンと花を出してくれるのです。これは性格が丈夫で、間違いなく成長してくれていることを証明してくれています。つまり、手に入れるべきストレリチアとしても、文句無い条件を備えているといってもよいでしょう。
・次の時代の花立ち優秀種(ジャンセアゴールド 多産系種)
これは、まだ生まれたばかりの品種ですから一般には知られてはいませんが、写真だけなら見ることが出来ます。「ストレリチア研究所のホームページの表紙の写真」に使われているからです。この新品種の特質を一口で言えば、「花が出過ぎて困る」ことにあるのです。何十年育てても花を出してくれないストレリチアが多くて困っているのに、こんなことが実際にあるのだろうか、との疑問が湧いてくるのです。今までは考える事もできなかった品種の出現ですから、これからの扱いも特別なものになっていくことでしょう。
事はストレリチアの花芽形成の特殊性に関わっているようなのです。普通の植物は花の分が出来てから花芽が動き出すのですが、ストレリチアは遺伝の指令が優先するらしいのです。結果として多産系種は形成した花芽が途中で成長できないまま終ってしまうことになるのです。これでは困るので咲かせ切れる花芽だけを残して残りは短い内に掻き取ってしまえば、この優れた性能を活かすことができるのではないか、といううことです。
でも、事は未だアイデアの段階ですから、実現するかどうかは、これからの問題です。それにしては、今まででは考えられなかった方法が起きてくることに改めて驚いています。

