これは高度な技術ですから簡単なことではありません。栽培されている花を観ることも大事ですが、もっと一般化されている切り花の利用形態で楽に観るチャンスがあります。商業上の作品を観る例なら数多くあるでしょう。TVでもフラワーアレンジメントとして、よく使われていますが、残念ながら、驚くようなすばらしい切り花にであったことはありません。商業上の制作には経費の制約もあるので、市場出荷の切り花が多く使われます。でも、大量生産品では優秀品を期待するのは無理なことです。
極上品をみるなら華展に足を運ぶことです。生け花のお師匠さんが自らの誇りをかけて出品する芸術作品が並んでいます。ストレリチアの切り花も、必ずとは言えないながらも、よく使われているのです。私は長い間、これに使われる花を提供してきたので、事情は或る程度わかります。
ストレリチア切り花が最初に使われ出した戦後、間もなくの頃、ストレリチアの花は輸入品で高価でしたから、使えるのは大先生だけで、生徒は、さわらせても、もらえなかったのです。このような経過もあって、未だに生け花の先生はストレリチアの花にこだわりがありますから、よく使われるのです。
芸術作品ですから経費は度外視で最高の材料が選ばれます。品質は経費ではありません。
作者の個性が現れていなくてはならないのです。このような花を要求されるのですから、私も、随分、気を使ったものです。困ったのは、先生の方は自分の描いた理想が植物とは関わりが無いこともあったことです。何年も前、道の駅で手伝いをしていたころ、東京から何回もストレリチアを求めにやっていらっしゃる生け花のお師匠さんがいました。車で1時間半もかかるのにです。
「東京では、私の作品に使えるストレリチアは手に入らないんです」と。これほどの人たちが選んだ花を観ることは悪くないでしょう。但し、規準がずれていることはしかたありません。

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