ストレリチアを扱う人の大部分は鉢植えですから、ストレリチアといえば鉢植えの状態がすべてと思いがちでしょうが、ここで見方を一変して頂きたいと思っています。そんなことは分っている、といいたいでしょうが、実は、そっくり、同じではなく、違いがあることを承知していないと、ストレリチア本来の姿を知らないまま過ぎてしまうのを恐れるからです。
ストレリチアも他の植物同様、初めから地面に生えていたわけですから、その延長である庭園、その他の地植えでは、自生地同様、何ら変わることなく生育を続けます。ところが鉢植えの場合は人工の環境で生きなければならないのです。地面に生えているときは、根は自由に、伸びたいところまで伸び、水も肥料分も自由に手に入りました、時には障害に阻まれ、制限を受けることがあっても、基本的には自由でした。
ところが鉢植えでは、この自由が大幅に制限されてしまうのです。地植えの状態から掘り上げられて狭い鉢に閉じ込められると、根が張れる空間はわずかしかなく、それでは今までの大きな体は維持出来なくなりますから。植物体を縮めて釣り合いを取らなくてはなりません。草丈で60%から70%ぐらいになります。葉の大きさも同様です。つまり、こじんまりとした姿になり、これが、また、人々の好みに合って喜ばれもするのです。
でも、それはストレリチア自身が望んだわけではなく、強制されているわけですから、その足りない分は人工的に補正してやらなければなりません。ここに栽培技術が登場してくるのです。
それも葉や柄が占める空間は地植えと何ら変わりなく、違うのは根の活動する鉢の中だけです。初心者が陥りやすい間違いに、必要以上に大きな鉢に、いきなり植えることがあります。鉢植えでは、地上部と鉢の大きさがバランスがとれていることが必要なのに、鉢だけ大きくては困るのです。また、バランスを越えた土の量では、水やりの後の乾きが悪く、いいことはありません。ストレリチアの根は縦横無尽に伸びたがるのに、少しばかり鉢を大きくしたぐらいでは大した効果はないのです。
狭い鉢の中に無理矢理、閉じ込められた根を、どうやって活躍させるか、そこにこそ栽培家の腕の見せ所があります。