私は大勢のお客さんを相手にするのが仕事です。たとえ、直接が新品種の養成でも、栽培の助言であっても、元々、本来の目的は、どうしたらストレリチアを楽しむことができるかにあります。でも、実際には、いつのまにか最初の道からずれてしまうことが多いことです。これはいったい、どうしたことでしょうか。
最初のスタートは気に入ったストレリチアを手に入れようとすることから始まります。ところがストレリチアを選ぶのは簡単ではないのです。品種の数は多く、しかも、それぞれに個性がありますから、ひとつだけ選ぶのが簡単ではなくなってしまうのです。その上に望んだ株の価格と用意した金額が合わない事態まで起きてきます。何回も経験したベテランなら、一回では済まないことを知っていますが、初めてではそうは出来ません。
選ぶ楽しみが苦しみに代ってしまうのです。ここで、先ず、心得なければならないのは、自分に合ったストレリチアを手にいれるのは、実は大きな楽しみであることを知ることです。
このようにして自分に合った品種を揃えてゆけば自分らしいコレクションが出来上がってもゆくのです。勿論、それには、お金がかかりますが、何の趣味でも同じことですからしかたありません。事は楽しみを得ることですから、ゆとりのある気分が必要であることは当然でしょう。誰もが持てない優れた品種を持つ人が何人か居ますが、みんな似たような共通点を持っています。言い方を変えれば「優れた品種は、其れに合う人の所へ集まる」と言って良いかも知れません。良いストレリチアがやたらに見当たらないのは、こんな事情があったのです。
