ストレリチアはアフリカ大陸の厳しい環境の中で生き抜くために、様々な戦略で対処しています。種子の発芽だけでも、他の植物とは違います。
ストレリチアを種子から養成するのは品種改良を目指す私にとっては大事な仕事の一つなのですが、これが相当に気を使う作業です。先ず気温が25℃以上が必要です。しかも、これが長く続くことが要求されますから、夏の初めが最適の季節となります。8月の終わりごろから9月へかけては、気温は十分でも、涼しい秋が迫っていますから、適しているとは言えないのですが、実は、この頃、熟してくる種子も多いので、判断に困ってしまいます。
それというのは、種子は一斉には発芽してこないのです。早いので播種後、1ヶ月から芽を出し始めてきて、その後、1月もかかって次々に追いかけてきます。これだけで2ヶ月かかってしまいます。それに、もっと遅れてくるのもいるのです。中には、来年回しになってしまうものさえ、あります。
このように幅広い期間に発芽させるのは、不安定な雨のために、どこで発芽するのが最適かがわかりませんので、どれか一つが当たれば良い、という戦略になるのでしょう。ストレリチアの親株は長生きします。だから、子供は多くなくても良いのです。そのために、数は少なくても確実な方法を、ということでしょう。
でも、私たち栽培家は、これに従うわけにはいきません。苗は多く必要なのです。そこで、この戦略に対しての対策を練るわけで、これが栽培技術というものでしょう。
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