ストレリチア秘話No.67 ストレリチアの種子

 ストレリチアの種子は小豆粒ぐらいの大きさで頭に帽子のようなオレンジ色の毛のような房がついていて「仮種皮」と植物学上では呼ばれています。初めの頃は、この房は発芽に関係すると思われていましたが、ファン ダ フェンター博士の研究で、発芽には何の関わりもないことが分かり、播く時には取去ってしまうことを勧められたので、以後、ずうっと、そうしてきてはいますが、では、いったい、これは何のだめにあるのか、いまだに分かっていません。

 ある人の説では、雨が降ったとき、この毛が「浮き」の働きをして、遠くへはこんでくれるのだ、とのこ、とでしたが、じきに否定されてしまいました。実際には、この毛は水にぬれると、水を含んでしまい、浮きの役など果たさなかったのです。自生地を観察すると、ストレリチアは丘の斜面に多く、谷底には全然、見られませんでした。雨で流される、そんなことは起きていませんでした。

 私の説は、この毛は甘い蜜を含んでいて、アリのような昆虫によって運ばれるのではないか、これなら、今よりも高い位置にも、また、穴にも運んでもらえます。日本の小さなアリでは無理ですが、アフリカには大きなアリもいるんではないでしょうか。ただし、これも自信はありません。