ストレリチア秘話No.121 園芸家の進むべき道とストレリチア

 園芸家の進む道は二通りあるように思われます。その一つは、なかなか言うことを聞いてくれない、気難しい植物を、だましだまし導いて育てる名人芸を目指す道です。この困難さに却って魅力を感じ、挑戦する人も多く、それは、それなりにやりがいのある仕事だと思います。

 いっぽう、誰もが楽に関われる一般的な技術の開発に専念する園芸家もいます。私は、こちら側にいますが、これには対象となる植物にも関係することもあるのではないかと思います。ストレリチアは、どちらかと言えば、楽に育てたい植物に入るのではないでしょうか。

 私の所のストレリチアは、育てるのに骨が折れるものはなく、古くから、数多くの試練をくぐって生き残ったものか、或いは、その子孫です。私自身が長い間に年をとり、楽な方へ、楽な方へと進んできたので、環境も栽培技術も、そうなってしまった、ということであるかもしれません。ストレリチアは敏感に反応する植物ではないので、それにピッタリだったのです。

 従って私は専門家とはいえ、ふつうの人には出来ない難しいことができるわけではなく、楽に栽培できる方法を編み出しただけの人といえそうです。私の役割は、ストレリチアという未知の外来植物を我が国に定着させる道を開くことだったといえましょう。