NO107とNO 108で優れた原種のことを述べました。今回もすぐれた系統の話になりますが、これは対立することではなく、どちらも優れているということです。私は、現在、取りかかっている「ジャンセア黄色種」に驚きと期待を持っています。
「雑種強勢」という言葉が植物、園芸で使われます。これは「純粋種」「純系」が弱くなってしまった形質を持つのに対し、その交配によって生まれた雑種が、親とは違って、驚くような性能を示すことをいいます。とくに1代目は、この傾向が強く、「1代雑種」として種苗会社から花や野菜の種子が多く売り出されています。
ストレリチアにも、この傾向があるのか、どうかについては、私は長い間、気がつきませんでした。ストレリチアは、それほど変化のある植物ではなかったからかもしれません。ところが、ここのところへ来て、それが現れてきたのです。
南アフリカ ポートエリザベスのセットラーズ パークにあるジャンセアの黄色原種はやや欠点を抱えた株にみえました。とはいっても、黄色種は1株しかありませんから、比べようもなかったのですが。つまり、親株としては、どこか、頼りない、不足な点があったのです。不稔性で自家受粉では種子が取れず、長い間、殖やすことが出来ないでいたところ、偶然にもサンバードが運んできたレギーネ オレンジ種の花粉によって種子「が出来たのです。この苗を私が入手したことによって、事態が大きく前進することに発展しました。